王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
*
その夜、いつものようにナサニエルがカイラの部屋を訪れると、いつもは自室に下がっているライザとロザリーの姿があった。
「陛下、折り入ってお話がございます」
カイラは夜着にガウンを羽織っていて、椅子にナサニエルを誘った。
「どうした。なにかあったのか?」
「マデリン様の侍女に気づかれないタイミングでお話したくて」
そう前置きして、カイラは、ナサニエルを椅子へと誘導した。
ロザリーとライザはお茶をいれ、ふたりに差し出す。
「陛下、今日お伺いしたいのは、コンラッド様の婚約についてです」
「なぜそなたが知っている? 結婚したい娘がいるそうだ。まだ喪中だし、コンラッドは学生だ。時間を置いてから紹介してもらうつもりだったのだが」
「そのお相手がクロエさんだということはご存じですか?」
ナサニエルは驚愕の表情を見せた。
「それは聞いていないぞ? イートン伯爵が了承したのか?」
「伯爵は反対しておられます。ですが、クロエさんは了承しているようです」
「あのふたりはそんな関係だったのか?」
ナサニエルは考え込んだが、ロザリーは首を振ってこたえた。
「恐れながら……、それはないと思います。少なくともクロエさんには恋愛感情はなさそうでした」
全てはザックを解放するために組まれた縁談だ。
ロザリーはクロエが持ち掛けられた取引内容をナサニエルにも話した。
ザックに王位継承権を放棄させること。そうすれば無実にして解放すると言われたこと。
その夜、いつものようにナサニエルがカイラの部屋を訪れると、いつもは自室に下がっているライザとロザリーの姿があった。
「陛下、折り入ってお話がございます」
カイラは夜着にガウンを羽織っていて、椅子にナサニエルを誘った。
「どうした。なにかあったのか?」
「マデリン様の侍女に気づかれないタイミングでお話したくて」
そう前置きして、カイラは、ナサニエルを椅子へと誘導した。
ロザリーとライザはお茶をいれ、ふたりに差し出す。
「陛下、今日お伺いしたいのは、コンラッド様の婚約についてです」
「なぜそなたが知っている? 結婚したい娘がいるそうだ。まだ喪中だし、コンラッドは学生だ。時間を置いてから紹介してもらうつもりだったのだが」
「そのお相手がクロエさんだということはご存じですか?」
ナサニエルは驚愕の表情を見せた。
「それは聞いていないぞ? イートン伯爵が了承したのか?」
「伯爵は反対しておられます。ですが、クロエさんは了承しているようです」
「あのふたりはそんな関係だったのか?」
ナサニエルは考え込んだが、ロザリーは首を振ってこたえた。
「恐れながら……、それはないと思います。少なくともクロエさんには恋愛感情はなさそうでした」
全てはザックを解放するために組まれた縁談だ。
ロザリーはクロエが持ち掛けられた取引内容をナサニエルにも話した。
ザックに王位継承権を放棄させること。そうすれば無実にして解放すると言われたこと。