王妃様の毒見係でしたが、王太子妃になっちゃいました
だが、いつまでもうまくはいかない。
やがて、王族の政治介入が無いのは危険だと、今度はアイザックが台頭してきた。
それに、対抗勢力であるバーナード侯爵派閥が乗っかって来たから質が悪い。

こうなればアイザックには退場してもらった方がいい。コンラッドも成長し、もうバイロンも必要ないだろう。
そう判断した彼は、バイロンに見切りをつけ、更に罪をアイザックになすりつけた。
ふたりの王子がいなくなってしまえば、ナサニエルにできることなどない。
元々彼は弱い王だ。議会の決定を覆すだけの力は持たず、部下を使うことに長けていない。
彼が若くして即位したときに、侯爵自身がそういう風に仕込んだのだ。

(ここまでは思い通り。……だが)

貴族を……特に日和見議員である者たちを引き付けるには金が必要だ。そのために、オルコット教授やウィストン伯爵を使って輝安鉱を入手し、他国に引き渡すことで金を作ってきた。
だが、ふたりとも死に、輝安鉱の入手場所の手掛かりは無くなった。
他に輝安鉱の入手方法がないか、なければ、他に金に換えられる毒はないか。その情報を得るために、わざわざオードリーの後見人に名乗り出たのだ。

< 95 / 222 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop