恋を知らない花～初恋～

「さすがね、結衣のあの対応はもう才能の域なのかな？一瞬であの笑顔！見送ったあとも嫌な顔一つしないし。」

と美希が私の顔をニヤニヤと見ながら言う。

「大学時代から結衣の他人への対応はすごかったものね。人たらしなのよ。私たちもそんな結衣の笑顔に惚れ込んだから離れられないのよ。」

冗談混じりに真由美もそう言うと笑っている。

「そんなに誉められても…私のお料理少しずつ分けてあげるわね。」

「たしかブュッフェって言ってたから！」

美希からつっこまれる。大学時代はいつもこんな感じで笑いあっていた。
社会人になると作り笑いとまではいかないけど当たり障りのない笑顔のスキルばかり磨かれる。

「ね～、やっぱり結衣の初恋の君もいるってことよね？真中さん？」

「うん…はぁ、どうしよう…気まずいままだし、目の前で彼女と仲良くされたら凹む。」

私は正直な気持ちを２人に打ち明けるとなぜだか２人はお互い見つめあって笑っていた。

「えっ？人が悩んでるのに笑うなんて…」

「だって、あの結衣が可愛いこと言ってるんだもの。恋愛には興味なさそうで恋愛の話は他人ごとのように聞き役だったのに。」

「うん、うん、たしかに！結婚式の二次回は立派な合コンよ！独身２人がんばるわよ！」

なぜか美希は張り切っている…