恋を知らない花~初恋~
私は質問に頷いて答えた。
それから真中さんが何枚か写真を撮ってくれた。

「じゃあ、今度は夏樹たちと結衣と真中さん4人で撮りますよ。」

美希がそう言って真中さんのところへ行き手のひらを上に向けて差し出したので真中さんは少し驚いていたがスマホを美希に預けると軽く会釈し、岩崎さんの横に駆け寄った。
私はそんな真中さんを無意識に目で追っていたら、横で夏樹が吹き出す。

「ねぇ、結衣の顔、いろんなものがダダ漏れてるよ。あの結衣がねぇ~!あっ、真中さん今フリーだってよ。」

夏樹がコソッと教えてくれた。
そのフリーという言葉が上手く認識出来なかった。
えっ?フリー?

「結衣~!笑ってこっちみて。」

写真を撮ろうとスマホをこちらに向けながら美希が言っていたがそれさえも頭が認識せず真中さんを見つめてしまった。
真中さんは美希の言葉に反応して笑顔でこちらを向く。
その笑顔を見て胸の高鳴りが増し、泣きそうにさえなる。

「ハハハハハッ、もうっ、結衣、しっかりしなさいよ。」

そんな私を見て夏樹が笑いながら肘でつついてきた。
私は慌てて美希の方を向くとなんとか笑顔で写真を撮った。

「ちょっと、レアな結衣をもっと眺めてたいけど私行かないと~!二次回は話せると思うからっ。またあとでね。」

岩崎さんと真中さんも少し言葉を交わしていたがすぐに真中さんは美希のところへスマホを受け取りに行った。

「川井さん、今日は本当にありがとうございます。良かったら真中のこと宜しくお願いします。」

となぜか岩崎さんから頭を下げられた。
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