恋を知らない花~初恋~
そう言ってかなり強引に私と夏樹の間に割り込んで座った。

「おいっ、島内!主役を押し退けるなんて失礼だぞ。それに川井さんも迷惑だろ。」

真中さんが怒って言うも島内さんは笑ってかわし、動く気配はなかった。

「じゃあ、真中さんこちらにどうぞ。」

美希が自分の隣を指し、真中さんはお礼を言って座った。
私の隣で島内さんはテンション高めにいろいろ話していたけど、内容はあまり頭に入って来ず楽しそうに談笑している美希と真中さんが気になった。
2人のそんな楽しそうな様子にまた胸が締め付けられた。

私は気分を紛らわすためにお酒を飲んだ。カクテルは飲みやすいのに度数が高めで何杯目かのおかわりをしたときにはもうふわふわとした感覚があった。

「川井さんお酒強いですね。顔色一つ変わってないですよ。」

「いえ、そんなことないんですよ。こう見えてもう頭はふわふわしてます。」

「川井さんがうちに営業に来てたなんて…知ってたら担当代わってもらったのに。真中は真面目すぎてつまらなかったでしよう?」

「そんなことないですよ。真中さんにも本当に良くしていただきました。」

私は当たり障りなく答えると島内さんは少しムッとした表情になり、おもむろに私の手を握ってきた。
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