恋を知らない花～初恋～

「真中さんは本当に優しいですよね。さっき夏樹からモテてる話を聞きましたよ。受付の子可愛かったのに…」

自分で思っている以上に酔ってるのか言わなくていいことを口走る…

「そんなことないですよ。モテません。受付の方は確かに好意を持ってくれていたんですが自分に気持ちがないのに曖昧にしてては申し訳ないのでお断りさせていただいたんです。」

「そういう誠実なところ素敵です。真中さんに愛される方はきっと幸せなんでしょうね。」

「川井さんこそ、すごく素敵ですよ。隣にいられる男性が羨ましいです。」

お世辞でも嬉しかった。
それなら真中さんが隣にいてください。といいそうになり思いとどまった。
社交辞令を真に受けてはいけない。相手に迷惑だ。

「フフフッ、そう言ってもらえて嬉しい。」

いよいよ速く打つ鼓動のせいで酔いが回ったのか涙が出そうになった。

「結衣がこんなに酔ってるなんて珍しい。そろそろ帰った方がいいかも？」

斜め前にいた真由美が私の異変に気づいた。

「う～ん、そろそろ帰ろうかな？また夏樹とは旅行から帰ったらゆっくり会えるし。」

「そうね、そうしたほうがいいわ。でも一人で大丈夫？」

美希がやや芝居がかって尋ねてきた。