恋を知らない花~初恋~
足音を立てないようにそろっとリビングから出てお風呂場へ向かった。
脱衣場には以前と同じように洗顔や化粧水が入ったお泊まりセットや着替えなども一式用意されていた。

わざわざ買いに行ってくれたのかな?
そんな優しさを感じてまた涙が溢れた。
私は自分の感情がコントロール出来ないことに戸惑った…

シャワーを浴び、用意されていた服を借りて着てみると初めて泊まったときに着せてくれていたTシャツだった。
あとはスウェットのズボンにブカブカのカーディガン。
私は迷ったけどドライヤーをかける音で起こしてしまったらと思い、タオルを肩にかけてリビングへと戻った。

真中さんは変わらずソファーでスースーと寝息をたてて寝ていた。
起こさずに済んだことに安心する。
でも、どうしてもまた寝顔が見たくなりソファーの横に膝を抱えて座る。

メガネは外しており、びっしりと瞼のふちに生えた睫が見える。
好きだなぁ。
前、真中さんと寝た日、恋だと気づいていたら何か違ってたかな?
私はしばらく寝顔に見入っていた。

「うわぁっ!」

急に見入っていた目が開き、すごく驚いた顔になった。

「アハハッ、ハハッ、クククッ…」

驚いた真中さんの声に自分も驚き同時に笑いがこみ上げてきて抑えきれなかった。
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