恋を知らない花~初恋~
「えっ?あっ、川井さん、目が覚めたんですね。あぁ、髪が…ドライヤーわからなかったですか?」

そう真中さんが言っている間も笑いが止まらず、なぜか涙がこみ上げて来そうになるのをこらえた。
そんな私を困った顔しながら見つめ、髪に触れた。
その瞬間体中を電気がビリッと走り、笑いも止まった。

「風邪ひきますよ。髪、乾かして下さい。」

「真中さんこそ、こんな所で寝ると風邪ひきますよ。毛布も一枚ですし…」

「俺は丈夫なので大丈夫ですよ。川井さん、随分と痩せられましたよね?風邪引いたら大変です。」

「そんなか弱くないですよ。フフッ」

頭を横にふると真中さんは立ち上がり脱衣場からドライヤーを持って来てくれた。

「ヘヘッ、乾かしてくれるんですか?」

そんなはずないのに冗談っぽく言ってみる。

「ハハッ、俺で良ければ」

まさかそうくるとは…
自分から言ったのに戸惑っているうちに真中さんはドライヤーのコンセントを入れると目の前のソファーに座った。

「川井さん後ろを向いて座って下さい。」

「えっ?あ、宜しくお願いします。」

「こういうの初めてなんで上手くできないかもしれませんが、ハハッ」
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