恋を知らない花~初恋~
私は戸惑いながら真中さんの前に背中を向けて座り直した。

「誰かにこんなことしてもらうのは初めてで、照れます。」

きっと顔を見らたら真っ赤になっているはず…ドキドキしすぎて顔が火照っていた。

「えっ?あの方ならしてくれそうなのに?」

「あの方って昼間話した?う~ん…お願いすればしてくれたんでしょうけど…」

「ハハハッ、でもこうやって俺が初めてさせてもらえて光栄です。以前は手料理も、初めてって言われてましたし…」

「正直にお話すると、私ってこういうこと抜きの後腐れない関係しか築いてこなかったんです。彼、拓也ともそう言う関係でした。他の人と違ったのは私たちの間に会話があったんです。だから一緒にいて楽しかったですし、特別に親しくもなりました。ただ、私も彼もお互いを恋愛対象として見れたら良かったんでしょうけど…私たちは恋愛とはどういうものか知らなかったんです。恋をするという感情が欠けてると思ってました。正式にお付き合いしていたって言いましたけど最後の日に拓也は私が恋をしてるって教えてくれたんですよ。フフッ、恋をするって感情を知れて嬉しい反面、辛いってことも知りましたけど。」

ドライヤーの音が響き渡る部屋で話をする私の声が真中さんにきちんと伝わっているかは定かではなかったけれど話続けた。
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