恋を知らない花~初恋~
「気持ち悪くなんてありません。私こそ、あなたに触れたかった。」

私は無理やり引き剥がそうとする真中さんに抵抗し、力いっぱい胸にしがみついた。

「私だけだと思ってました。こんな、汚れた私なんて見向きもされないと思ってた。私なんかに心を痛めないで下さい。私にはあなたはもったいなさすぎる…」

「何を…川井さんはきれいですよ。大丈夫。逆です。俺にあなたはもったいない。」

真中さんは引き剥がそうとする手を止めて私の頭を撫でてくれた。

「きっと、まだ酔ってるんですね。さあ、とりあえず今日は休んで下さい。」

子供を諭すように背中を撫でられる。
私は顔を胸に擦るように頭を横に振った。

「酔ってません。真中さんが好きです。初めてで気づくのが遅くなったけど、本当に好きなんです。」

私は懇願するように真中さんを見上げると、真中さんの表情が歪んだ。
その顔が私の顔に近づいてきて恐る恐る唇が触れた。
私はすぐに離れて行く唇を見つめながらまた、涙が溢れて止まらなかった。

「今の、今のキスは、私をなだめるためのキスですか?それとも…」

言い終わらないうちにまた口を塞ぐようにキスをされる。
今度はすぐには離れて行かなかった。
真中さんが舌先でチロチロと私の唇を舐め、中に入ってくる。
私は背筋がゾクゾクとなり身体に火が灯るように火照りだした。
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