恋を知らない花~初恋~
それからはドロドロのまま疲れきった2人はくっついて眠った。

目が覚めるとあの日の朝と同じように後ろから抱きしめられていた。
耳もとではすぅすぅと寝息が聞こえる。
真中さんの匂いと体温に包まれて幸せを感じていると自然と涙が流れ出ていた。
自分の感情なのに自分ではコントロールできず、しばらくの間涙を流し続けた。

気持ちが落ち着いてくると自分の喉がカラカラなのに気づきいた。きっと真中さんもカラカラなはず。
私はそろっと彼の腕の中から出てTシャツを一枚着るとキッチンへ向かった。

「勝手にごめんなさい。」

小さく言って冷蔵庫を開ける。
中にはミネラルウォーターのペットボトルが何本かと、おかずの入ったタッパーが何個かきちんと並べられて入っていた。
ちゃんと自炊してるんだ。私よりきちんとしていそうだった。
私は2本ペットボトルを取り出して、とりあえずその場で半分ほど飲んだ。

「はぁ~、生き返るぅ。」

「フッ、クククッ、フフッ…」

笑い声が聞こえて慌てて振り返ると真中さんがTシャツにトランクスという姿で笑っていた。

「死にかけてたんですね。ククッ、俺も一本もらっていいですか?」
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