恋を知らない花~初恋~
その日は真中さんに借りた服で1日過ごした。
マンションの下にコンビニがあり、手をつないで買い物にも行った。
本当に楽しくてあっという間に過ぎ、夜は車で送ってもらった。

「さぁ、寒いのでもう部屋に入って下さいね。また連絡します。」

「はい。私も。青木君について営業に行こうかなぁ。」

「ハハハッ、きっと村田課長が許してくれませんよ。」

別れ際に軽くキスをした。
普通の恋人同士のすることがこんなに心躍るとは知らなかった。
ひとりの部屋に帰ると寂しかったけれど、でも2人の関係は始まったばかり。
これからのことを考えると楽しかった。
恋をすると人ってこんなに変わるんだ。人前で泣いたりなんて子どもの頃以来だったから。

今までしたことのない定番デートをしたいなぁ。
これからはクリスマスに年越し、バレンタインもある。
そんなことを一つ一つ真中さんと話すのも楽しみだ。

そんな事考えたら別れたばかりだけどもう会いたい。
昨日夏樹の結婚式で岩崎さんに会って、真中さんに会うのが怖かったのに、今では会いたくてたまらない。

みんなに報告もしたいし、ノロケも聞いて欲しい。
でもとりあえず今日は真中さんにだけメッセージを送った。

『すでにもう会いたいです。おやすみなさい。』

そう送ると、

『俺も会いたいです。おやすみなさい。』

って届いた。
その文面だけで胸が高鳴る。

< 140 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop