恋を知らない花~初恋~
「拓也の印象は最悪だもん。雄一さんも会いたくはないはずよ。」

「フッ、ゆういちさんねぇ~。良かったな。」

そう言うとからかうように私の頭を撫でて彼女の方へ戻って行った。
自分もこんな所見られて気まずいはずなのに…
雄一さんを見るとトレーナーと話し込んでいた。
見られたかな?

15分程で雄一さんはトレーナーのテストから解放され、その後は私が一緒ということもあり、トレーナーがついて回ることもなかった。

「お疲れ様。どうでした?」

「やっぱり年取ったなぁって思い知らされます。学生の頃のようにはいきません。」

わざと肩を落として話す雄一さんを見て思わず吹き出した。

「プッ、フフフッ、アハハ…」

「笑わないで下さい。これでも落ち込んでるんです。さぁ、頑張るぞ!」

雄一さんは気合いを入れると私が乗っていた自転車のマシーンの横に乗り、漕ぎはじめた。
初めは緩やかに、笑顔で話せる程度を15分程したらピッピッとレベルを上げて黙々と漕いでいた。

その後は私に合わせてくれながら筋トレメインでマシーンを回った。

「ふー、さすがに飛ばしすぎました…明日は筋肉痛かも…さすが結衣さんは通ってるだけあってタフですね。」

「フフッ、そうですか?加重が違いますもん。雄一さんこそ久々でこの加重はすごいですよ?」

雄一さんの腕の筋肉をなでる。
やっぱり私にはない厚みの筋肉があった。
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