恋を知らない花～初恋～
拓也の毒のない笑顔が面白くて雄一さんの背後で笑ってしまった。
確かに私とは特別な間柄だったからこそ素を知っているだけで、もともと拓也は何を考えているかわかりにくい人だった。

「結衣さん、何が面白いの？」

笑っていることを雄一さんに気づかれてしまった。

「２人が大人の挨拶を交わしているのが不思議なんですよ。そろそろ着替えに行きましょうか？」

早くこの場を去りたくて提案した時、カウンターの方から女性が歩いてきて拓也の隣で止まった。
お見合いの相手だ。

「丁度良かった、紹介しますね。こちらがお話してあった川井結衣さんで、こちらがお付き合いされてる真中さんです。」

「初めまして、私、東郷結と申します。すごい偶然ですが名前が一緒なんですよ。宜しくお願いします。」

丁寧に頭をさげる姿はとても綺麗だった。

「初めまして、同じ名前だなんて何かの縁を感じますね。宜しくお願いします。」

私も笑顔で頭を下げる。

「初めまして、真中と申します。」

雄一さんも挨拶をしてくれた。

「では、私たち帰るところだったのでこれで失礼します。」

「えっ？私たちもそろそろって話していたんですよ。よろしかったら一緒にお食事でもいかがですか？」

写真で受けた印象通りのふんわりと可愛らしい子だった。
きっと私よりも若いだろう肌は白く透き通っており陶器のようだ。
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