恋を知らない花～初恋～
リビングに入るとジャケットを脱ぎ持参したエプロンを付けた。

「あっ、エプロンまで。 ステキです。すいません、いいのかな？俺なんかが見てしまって…」

「フフッ、真中さん相変わらずですね。本当に人様に振る舞える腕前ではないんですよ。自分で食べる分ぐらいを作るくらいで…よく考えたら誰かのために料理するなんて初めてなんです…」

「えっ？そんな初めて俺でいいんですか？」

真中さんは眼鏡の下で絵に描いたように目をまん丸にしてこちらを見ていた。

「いや、なので本当に期待しないでください。一応練習はしてきましたけど…ヘヘッ」

「手伝います。俺に出来ることは何でも言って下さい。」

それから一緒にキッチンに立ち真中さんがお皿を出してくれたり、私が炒め物をしている間に切ったりしてくれて、あっという間に何とか予定していたものはできた。

誰かと一緒に料理するのは楽しかった。仕事でしか真中さんと話をしたことなかったけど一緒にいて楽しかった。

それから私が持参したおすすめの日本酒とあの幻の日本酒を食卓にならべ乾杯をした。

初めはテーブルで食事をメインに楽しんだ。
真中さんは何でも「美味しい、こんなに美味しいものは初めて食べた」って言いながら食べてくれた。
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