恋を知らない花~初恋~
「真中さんだって一緒に作ったんですよ?」

そう言ってみるけど真中さんの中では全ての料理が私の手料理になってる…

食事は残さず食べた。
日本酒もやはり感動するほどに美味しいかった。
先週のようについ飲みすぎそうで怖い…

食事が終わってとりあえずお皿を下げ片付けようとすると、

「俺がするからお皿は放っておいて下さい。」

と後ろからお皿を取り上げられた。

「えっ?お礼だし、私にさせて下さい。作るのも結局2人でしちゃったし…」

「気にしなくていいのに。じゃあ皿洗いも一緒にしてくれますか?」

真中さんの提案で結局お皿洗いも一緒にした。
そんな些細なことも2人でするだけで私は楽しかった。

それからは真中さんがちょっと摘まめるおつまみを用意してくれており、ソファーのローテーブルに移り今度はお酒メインで楽しんだ。

どれぐらい飲んだのだろう。
自分がだいぶ酔っていることに気づく。

真中さんを見ると遠慮がちにソファーに座っている。
きっと私との距離を保つために下に座らないのだろう。

酔っていることもあり遠慮している彼にイタズラしてやりたくなった。
私はグラスを片手に真中さんの隣に行くと身体が触れるくらい近くに座った。

「真中さん楽しんでますか?そんな縮こまって。」

私はわざと耳元で囁くように言ってみた。
真中さんはビクッと体を震わせ慌てて立ち上がった。

「川井さん、大丈夫ですか?もうかなり酔ってますよね?だいぶ飲まれましたし。」

「ヘヘッ、少し酔ってますかね?」

「はい。あ、あの、そろそろ時間も遅くなってきましたしタクシー呼びますね。」
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