恋を知らない花~初恋~
3
いやいやいや、もやっとって何?
そんな自分に少し焦ってしまう…

彼を起こさないようにそろっと腕の中から抜け出て下着を拾ってリビングへ行く。
ソファーにしわにならないようにスカートやブラウス、パンストまで掛けられていた。

自分から脱いだのだからほっておけばいいのに…
彼の私への気遣い一つ一つになぜか胸が痛む。
それらを持ってバスルームへ行く。

とりあえずさっと汗などを流して早く帰ろう。

シャワーを浴びながら昨日のことを思い出す。
かなり自分が酔っていた自覚はある。
あんなに抵抗する彼にグイグイ自分から迫ったことを今になって後悔し始めた。
後腐れない相手としかしてこなかったのに…
きっと彼は責任を感じるだろうし、あっさりとなかったことにはならないだろうな…
ましてや取引先の担当者だ。

何で思い留まれなかったんだろう…

ため息をついていたら、バタバタバタっと慌てている足音が聞こえてきた。
きっと真中さんも目を覚ましたんだろう。
あわよくば眠っているすきに置き手紙でもして帰ってしまおうと思っていたのに…

はぁ~、めんどくさい…

自分から迫ったのに私って本当に最低な人間だ。
勝手にタオルを借り、昨日着ていた服を着た。
パンストだけ履く気がせず、その場にあったゴミ箱へ丸めて捨てた。
がばんに入れてある化粧直し用の化粧品で簡単に化粧をし、重い足取りでリビングへ行く。
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