恋を知らない花～初恋～

「ふ～ん、俺たちと違ってねぇ～、よっぽどいい男なんだ。キレイって…」

「見た目は冴えないモサモサな小動物みたいな人なんだけど、フフッ」

「へぇ、意外だな。結衣でもそんな顔するんだ。てっきり他人には興味ないのかと思ってたよ。」

ん？そんな顔ってどんな顔だろう？
私が本当にわからないって顔をしていると、

「まぁいいよ。他人に指摘されて気づくもんでないしな。お前は自分の感情に鈍すぎるんだよ。」

自分の感情？鈍い？

「とにかく、お前に迫られて悪い気するやつなんてそうそういないよ。しかも縛り上げて無理やりにやった訳じゃないんだろ？」

「縛ってはないけど…たぶんかなり拒否されてた気がする…」

「ハハッ、すごいな。なかなかやるじゃん。でも最後に突っ込んで動いたのは男のほうだろ？」

突っ込んで動いたって…
拓也ってキレイな顔してるのに…その口からそんな言葉、似合わない…

「うっ、確かに。誘惑に負けたっていうか、男としての本能みたいなものでしょ？どんなに真面目でも抗えないものがあるんじゃないの？」

「確かにな。しかも結衣からの誘惑となると特別なっ。まぁ、あっちも楽しんだんじゃないのか？」

「そんな人じゃないの。きっと責任を感じてるだろうし、たぶんだけど、傷つけてしまったと思う。」