恋を知らない花～初恋～

その頭を課長からはたかれる。

「川井、お前は被害者なんだ。個人的な理由なら仕事中に仕事ちらつかせて迫ってくるなんてしてはいけないし、犯罪だ。そもそもいい大人がなぜ自分じゃなく他人にそんな事させるんだ？真中さんは悪い人じゃないと思ってるし電話でのあの焦り様からして彼が頼んだことでもないんだろうと思ってる。だからこそ真中さんとお前のことは口を出すつもりはない。そもそもお前のことは信用してる。もしお前が男性関係がだらしなければ今までに何か耳に入っても可笑しくないし、分別持って行動してくれればいいと思ってる。どうする？会社から抗議することもできる。もちろん皆には公表しない。」

私は慌てて首を横に振る。

「そんな事…しなくていいです。ただ、もう私はあの会社とは上手く信頼関係を築けないと思ってます。自分の責任でもあるのでそれなりの責任をかして下さい。ご迷惑をおかけしてすいません。」

怖い顔をして話してはいるが村田課長が味方してくれているのがわかる。

「あぁ、あそこの担当はじきに青木にって思ってこの前飲みの席に同席させたんだ。青木にも伝えてはいる。だから過去資料や書類も目を通してるはずだ。何度かお前と行ってから交代と思っていたけど次からは俺と青木で行くよ。お前にも外回りを減らして新人教育に携わってもらうつもりだったんだ。4月から何人か入ってくるからな。あとは青木やらのフォローしてやって欲しい。正直今お前がいなくなるのは困る。だから辞めるなんて言い出さないで欲しい。これは俺個人の願いだ。」