恋を知らない花~初恋~
私は拓也とご飯に行くために待ち合わせをし電話を切った。

「美穂ちゃん、ありがとう。一緒にいてくれる人が見つかったからもう帰って、本当に彼氏君に申し訳ないから。」

「そうですか、少し残念だけどお気遣いありがとうございます。今度は計画的にお泊まりに来ていいですか?先輩と一晩語り合いたいし。」

美穂ちゃんはイタズラに笑ってそう言った。
美穂ちゃんは本当にフワフワと可愛くてしっかりしてて、彼氏に愛されてるんだろうな。
うらやましい、私だって…
ん?私だって何だろう?愛されたい?誰に?
自分の中でこみ上げてくる何とも切ない感情が怖くて向き合う事ができなかった。

拓也との待ち合わせ場所までついてきてバトンタッチしないと心配だ、って美穂ちゃんが言い出した。
でも…拓也との関係は美穂ちゃんになんと説明していいか…
拓也も美穂ちゃんを連れて行ったら驚くだろうし…

結局美穂ちゃんは譲らず、拓也との待ち合わせ場所までついてきてきた。

「お待たせ…お疲れ様。」

私が拓也を見つけて声をかけると隣にいた美穂ちゃんは私の腕を掴みながらキラキラした目で拓也に挨拶をした。

「はじめまして、川井先輩の会社の後輩で伊藤です。やだっ先輩、イケメンと待ち合わせなら言って下さいよ。化粧ぐらい直して来たのに。」
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