恋を知らない花~初恋~
私が震えてる間横にいてべったりだったから店員さんは気まずそうに料理を運んで行った。
座敷テーブルに横一列になってご飯を食べた。
店員さんが出入りするときは恥ずかしかったけど、拓也の体温を感じることで安心できた。

こんな事があったからか初めの余所行き顔の優しさとは違う本当の拓也の優しさに触れた気がした。
なぜ拓也は特定の誰かを作らないのだろう?
きっと人を好きになることも出来るし拓也だったらちゃんと愛してもらえるだろうに…

その日はご飯を食べて帰るつもりでいた。
でも拓也は私をひとりにしておけないしこのままひとりにしたら美穂ちゃんに恨まれるとかなんとか言いながら私を離してくれなかった。

まず拓也の家へ行き明日の準備をして私の家へと向かった。
拓也がどこに住んでるかも知らなかった。
初めて入る拓也の部屋は必要最低限しか物はなく、殺風景だった。
拓也らしいって言えば拓也らしいのかもしれない。

そしていつも送ってもらっているとはいえ、家に上げるのも初めてだった。
拓也の部屋ほど広くもないのに倍くらいは物がある。片付けてるわけでもないから本当なら上げたくはなかった…

「へぇ~、結衣の部屋ってもっと生活感なさそうな感じだったけどフツーに女の子の部屋だな。」

そう言って部屋を見渡すから恥ずかしかった…
< 51 / 161 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop