恋を知らない花~初恋~
交代でお風呂にはいり、お互い部屋着になった。
部屋着姿までもが様になるのってイヤミだ。

何だかこういう時間の過ごし方を男性としたことがなかったのでどうして良いかわからず困ったけど拓也は何ともなさそうだった。

「そういえば、結衣って川井っていうんだな。川井結衣。名前すら知らなかったな。」

「ハハハッ、私も。美穂ちゃんに鳥越って名乗ってる時にへぇ~って思ってた。拓也って名前しか知らなかったし、私なんて家も今日初めて知った。」

「でも結衣は俺がどこに勤めてて、どこに住んでるとか興味なかっただろ?聞かれてないし。」

「まぁ、確かに。知りたいと思ったことなかった。」

「興味無さすぎ!」

そう言ってお互い笑い合ってわざとらしく営業スマイルで名刺交換をした。

「やっぱり、思った通りエリートなんだ。拓也っていくつ?同じくらいかなって思ってたけど。私は27。」

「じゃあ俺が上。30。」

30!?見えない…確かに落ち着いてるししっかりしてるけど3つも上だったなんて…

「なんか負けた気がして悔しい…」

「ハハッ、どんな勝負だよ!」

落ち着かないと思ったのはほんの一瞬でそれからあーだこーだと楽しく過ごした。
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