恋を知らない花~初恋~
「そんな、あの日のことも岩崎さんのことも真中さんに非はないんですよ。あの日の私は美味しいお酒とあまりの楽しさに酔いすぎたんです。反省してます。当分は学生のようにレポート漬けの日々ですしお酒は自粛します。」

最後は敢えて明るく言ってみたが、やはり真中さんは自分を責めているのか痛々しい笑顔でこちらを見ていた。

「本当に、本当にあの日、自分も楽しかったんです。川井さんのような方とご一緒出来て…」

真中さんが泣きそうな顔をして話すから青木くんも何かに気づいたみたいで、

「真中さん気分悪くなっちゃいましたか?そんなに飲みましたか?」

なんて的外れな心配をしていた。

「そうそう、真中はあまり酒に強くなくてな。あんまり無理するなよ!こんな美人が目の前にいて酔いたくなる気持ちもわかるがな。」

城戸課長も笑いながら冗談を言っている。
きっとそれなりにみんな酔っているんだろうな。

「いえ、大丈夫です。」

真中さんが真面目に返すが誰も聞いていない…

「そろそろ次行きますか?」

21時をすぎた頃、青木くんがそう言いだした。

「申し訳ありませんが私はこれで失礼させていただきます。まだ持ち帰りの仕事が残っておりますので。」
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