恋を知らない花~初恋~
「そうか、川井さんはまだ仕事残ってたんだ。悪かったね。無理に呼んじゃって。」

「いえ、城戸課長に挨拶をさせていただきたかったので呼んでいただけて嬉しかったです。また是非、誘って下さい。」

それから私はお店の前でみんなを見送った。
真中さんは話が途中だったから何か言いたげなまま別れた。

さて、帰ってレポート頑張ろっ!
と駅の方へ歩き出した時、前から拓也が歩いてくるのが目に入った。
拓也も私に気が付いたようで、こちらに向かってきた。

「お疲れ、今日はもう仕事はいいのか?」

拓也は私の忙しさをよく知っているからこんな飲食街に私がいるのに驚いていた。

「お疲れ様。全然よ。取引先の方に挨拶できてなかったから少しだけ顔出してたの。今から帰ってまたレポート…はぁ、私きっと学生のときより勉強してる気がする…」

「ハハハッ、まぁ頑張れよ。未来輝く新入社員のために。」

「もうっ、茶化さないでよ。輝く自分の未来のために頑張るわよ。拓也は飲み会?」

周りを見渡すと拓也と同類のようなやや、お堅い感じのカチッとしたスーツ集団が歩いてきていた。

「先輩、ナンパですか?うわっ、めっちゃ美人。この人近々お見合いさせられる予定なんで俺にしません?」

拓也の後輩かな?タイプとしては拓也にチャラさが増したような人だった。

「こいつは違うから。先に行ってろよ。」
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