恋を知らない花~初恋~
拓也は私を隠すように肩に手を置き、自分の後ろへ引っ張った。

「えっ?彼女さんとか?先輩彼女いましたっけ?めっちゃ美人、俺にも紹介してください。」

少しこの後輩は酔ってるのかな?
他の後輩らしきスーツ集団も野次馬のようにこちらを見ていた。

「お前に紹介する義理はないし、そんなヤツじゃない。」

「え~、ケチ。あとから教えて下さいよ。」

こちらを見て会釈するとその後輩らしき人たちは私たちの前を通り過ぎていった。
その集団の背中を見送っていると、ふと、視線を感じた。
その集団が歩いて行った方へ、少し前に課長たちと歩いて行ったのを見送ったはずなのに…
真中さんがこちらを驚いて見ていた。

「真中さん…」

つい口から出てしまった…
拓也も真中さんに気づいたようで少し睨むように見る。

「えっ?今日は真中もいたのか?もしかして真中とかいうヤツって今こっち見てる?」

「えっ?」

何だか拓也の声色が強くなったからびっくりして見上げる。

「あいつが真中とかいうヤツか?」

少し怖い顔してこちらを見て言う。
私は拓也と真中さんの顔を交互に見てしまった。

「はぁ、マジか…あんな冴えないヤツが…」
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