恋を知らない花～初恋～
「そんな事ないわよ。真中さんも責任に感じてるみたいだし、本当に純粋に私に何かあったらって心配してくれたのよ。」

「純粋ねぇ～、マジであの男にお前は欲情したのか？どこにそんな魅力があるのか…」

「それは…拓也に言う必要ないでしょ。私ここで大丈夫だから、もう拓也もみんなの所に行って。」

これ以上拓也に真中さんのこと悪く言われたくなくて肩に置かれた手を払った。

「タクシー乗るまで見届けるよ。何かあったら嫌だからな。ほらっ、」

払ったはずの手はすぐに背中に添えられて大通りへ押されるように歩き出した。
結局大人しく言うことを聞いた。

拓也は大通りでタクシーを止めると美穂ちゃんの時みたいに運転手さんにお金を渡して「お願いします。」って言っていた。

「お金いいのに、そんなに遠くないし…」

「いいんだ。その代わり今日泊めてくれない？もう少しあいつらに付き合ったら家にいくから。俺の部屋着置いたままだったよな？」

「えっ？泊まるの？私仕事あるんだけど？」

「フッ、邪魔しないよ。じゃあ、後で。」

拓也は私の返事を聞かずにドアを閉めた。
笑顔で手を振っていたから、私もしぶしぶ手をふってタクシーを発進してもらった。
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