恋を知らない花~初恋~
2人とも部屋着でのんびりお酒を飲み始めた。
ネットで映画も見れるねなんて言ってたけど話が弾んで見るのも忘れるくらい。

お互い少し酔ってきてまったりとソファーに座り、私は拓也に寄りかかっていた。

「俺さ、母子家庭で育ったんだけど母親は体が弱いくせに体売って俺を育ててくれたんだ。それはもうどんな奴ともヤッてたよ。家に男たちが来るんだけどその時俺は押し入れに入って息を潜めてたんだ。フッ、押し入れが俺の部屋になってて電気も付けてくれてたよ。声とか聞こえまくりで本当にどういうつもりだよってな。」

突然拓也が話し出すから驚いたけど私はうん、うん、って聞いていた。

「それでもさ、あんまお金ないし周りからは白い目で見られるし、最悪だったんだ。だからさめちゃくちゃ頑張って勉強した。高校生のころに母親が倒れてそのまま死んじゃってさ、皮肉なことに生命保険だけはかなりかけてたみたいで一気にお金が入ってきたんだ。だからバイトは少ししたけど勉強に集中して大学まで行けたよ。とにかく取れる資格も取ったし詰め込めるだけ知識を詰め込んだ。そして今の会社に入ったんだ。」

「うん、拓也すごいもんね。何でも知ってるし、今日のレポートのアドバイスも的確だったし尊敬する。」
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