恋を知らない花~初恋~
「あぁ。だからこの話受けるつもりだよ。どんな女でも絶対上手くやってみせるつもりだよ。ただ、今になってさ、後悔してるんだ。ちゃんと恋愛して、恋人と楽しい時間を過ごしてみたかったって。それはたぶん結衣に会ったからなんだ。」

「えっ?私?私なんて欠陥品だよ?」

「お前は自己評価悪すぎだよ。初めは斜め上を行くつかみ所のない奴かなって思ってたけど違った。ちゃんと人間だったし、可愛いよ。だからさ、自分勝手なこと言うけど俺が見合いするまでの少しの間俺たち付き合ってみないか?俺も人間らしい時間を過ごしてみたいんだ。」

人間らしいって…

「そんな重大な役、私じゃダメな気がする!家庭的でもないし、そもそもやっぱり拓也のこと恋愛としての好きかわからないし…」

「フフッ、その嘘つけない所もいいよな。俺もわからないんだ。でも最近結衣と過ごす時間が楽しいんだ。可愛いとも思うし、抱きしめたいとも思う。結衣もそうじゃない?セックス出来る程度にはお互い好きなんだよ。初めて優しくしたいと思ったんだ。きっと結衣とだったらずっとこんな感じで楽しくやっていけるとも思うんだ。でも俺はその幸せを手放してでも地位が欲しい。そのためだけに頑張ってきたからな。自分勝手な提案だってわかってる、でもあと少しだけ、結衣と過ごしたいんだ。」
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