恋を知らない花～初恋～
そんな愛のない結婚やめてしまえばいいのに…十分今のままでも地位もお金もあるじゃない。って何度も言いかけたけど、きっと拓也はそんな言葉は望んでない。
むしろ、今の淋しさを受け入れてくれてそれでもなお、否定せずにいて欲しいんだろうと思う。

「大丈夫よ。私は大丈夫だから、もう謝らないで、ね？」

私はそう言って拓也を抱きしめることしか出来なかった。

それからというもの、今までは週末ぐらいしか求められなかったのに平日にも求められる回数が増えた。

残り1週間と言う頃に写真を持って帰ってきた。
お見合い相手の写真らしく、役員であるそのお相手のお父さんからもらったそうだ。

「すごく穏やかな方なんだ。その方の娘さんらしい雰囲気の子だ。写真をみただけで全てが分かる訳じゃないけど悪い印象はないよ。話を聞いてもかなりの箱入り娘らしく心配された奥様が留学に出したらしい。」

「へぇ～、うん、私も悪い印象は感じないよ。拓也のことを大切にしてくれそう。本当にそうだったらいいな。」

写真を一緒に見てそんな話をしてからは拓也は少し落ち着いたように見えた。
その日の晩は久しぶりに何もせずベッドで抱き合って眠った。
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