君がどこにいても
「雛菊の花言葉はね、平和や希望なんだよ。あたし、この花がとっても好き!」

そう笑った愛しい人は、今ここにはいない。廉は花瓶に入れられた雛菊を見つめる。雛菊を見るたびに思い出すのは、陽菜のことだ。

洗濯などを済ませた後、廉は車に飛び乗る。そして病院まで急いだ。今日こそ目を覚ましてくれるかもしれない。そう期待に胸を弾ませる。

一時は心臓が止まり、危険な状態にもなった。しかし、その危険を今は乗り越えている。そろそろ目を覚ましてほしい。

病室に入ると、陽菜は変わらずベッドで眠っていた。陽菜の母と交代し、廉は陽菜の小さな手を握る。

「陽菜、そろそろ起きて笑顔を見せてほしいな。また一緒に二人で雛菊の花畑に行きたいし」

愛してるよ、君は僕の天使だね。そんな台詞も廉は囁いてみた。口にしてから顔を赤くして、「今のは聞かなかったことにしてね!恥ずかしいから!」と言う。眠っているとわかっていても、恥ずかしい。
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