君がどこにいても
その時、廉の手が軽く握り返される。廉は当然驚いた。

「えっ?」

ゆっくりと陽菜の目が開いた。そして、ニコリと廉に微笑んでいる。

「……さっきの……聞いちゃった……」

幸せそうに言う陽菜を見て、これが夢ではないと廉は理解した。目の前がぼやける。でも、涙と共に笑顔もあふれていた。

「おはよう、陽菜。ずっと待ってたよ」

「……おはよう、廉くん」

そして、陽菜は「愛してる」と廉に言ってくれた。廉の胸が高鳴る。そして、あることを決意した。



陽菜が目を覚ましてから二ヶ月。陽菜はリハビリを頑張り、今日退院することになった。幸いにも、後遺症などはない。

「お世話になりました」

廉は陽菜と先生に頭を下げ、車に乗る。陽菜が隣にいることに、廉は改めて幸せを感じた。

「わ〜!!やっと家に帰れる!!」

笑ってはしゃぐ陽菜に、「今日はお祝いしなくちゃね」と廉も微笑む。今日は二人にとって特別な日になるのだ。
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