君がどこにいても
廉がそっと陽菜に渡したのは、雛菊の花束だった。陽菜はとても嬉しそうな顔になる。

「とっても素敵!嬉しい!ありがとう!!」

廉はギュッと陽菜を抱きしめた。もうこと腕の中に閉じ込めてしまいたい。交通事故の後、ずっとそう思っていた。

「廉くん……」

陽菜が赤い顔をしながら廉を見上げる。廉は迷うことなく陽菜の唇に自分の唇を重ねた。優しいリップ音が部屋に響き渡る。

「陽菜……」

廉は陽菜にそっと優しく囁く。吐息がくすぐったいのか、陽菜から甘い声が漏れた。

「今、伝えるよ」

廉は陽菜を抱きしめる力を強くする。今、僕が伝えたいのはーーー。

「理由はいらない。ただ、陽菜がほしい。いつまでもそれで十分なんだ」

「廉くん……」

廉は陽菜を離し、真剣な目で陽菜を見つめる。陽菜はただ赤い顔で廉を見上げていた。

「この先長いことずっと、どうかこんな僕とずっと、死ぬまで一緒にいて」

「えっ?それって……」
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