涙色の空

花先輩、泣いてる。

大会で負けて悔しくても絶対泣かないのに。

「ごめんね。」

「花先輩…。」

「とにかく、紅樹くん。がんばってね!!」

「はい。」

「じゃあ私、帰るね。ばいばい。」

「さようなら。」


がんばって!って言われたって無理だよ。

だって、こう先輩は花先輩のこと…。

好きだから。

見てたらわかるよ。

今日だって笑ってくれたのは

うちにじゃなくて、

後ろを走っていた花先輩を見てたから

きっと、うちに気づいたんだ。

うちに初めて話しかけてくれたのだって

うちと花先輩が仲がいいって知ってたから。

でも花先輩にも忘れられない響先輩っていう人がいる。

だから。



サッカー部が終った。

「あれ、寺川は?」

「花先輩、帰りました。」

「そっか。友里ちゃんは誰かと帰るん?」

「う~ん。1人です。」

「1人かぁ。暗くて危ないし俺、送るよ。」

「今から走ったらまだ間に合います!花先輩まだ近くに!!」

「いいよ。あいつには好きな人、いるから。」

「諦めるんですか!!」

「そっちのほうがあいつは幸せなんだよ!!」

「いいんですか。」

「俺だってあきらめたくねぇよ!!けど、けどさぁ。」

「けど何なんですか!そんなのこう先輩らしくないですよ!」

「いいんだ。幸せになってくれればそれで。」
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