夢のような恋だった
『知らなかったのは、咲良ぐらいじゃない?』
友達に言われた通り、個性的な人の多いこの芸術大学のなかでも、一番の有名人だった。

長谷川誠真 美術学部の3年生。
私、朝倉咲良の1つ上の先輩だった。
身長は180cmを超えているだろう。細身でバランスの取れた体形は、その辺のモデルよりも整っていて、友人情報によればもちろん、何度もスカウトされ読者モデルのようなこともやっているらしい。

いつしか私は長谷川先輩を目に追うようになった。

いたって普通で、なにも取り柄のない私と正反対の人のようで、いつもきれいな女の人がそばにいた。

私が音楽学部で校舎が違ったからといって、どうして今まで彼をしらなかったのか?自分でも驚くほど、探そうと思えば長谷川先輩を見つけてしまう。

そんな私に驚く話が舞い込んできたのは、一つ学年が上がった桜の咲く季節だった。
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