夢のような恋だった
「朝倉、今度の美術との共同制作に推薦しといたから」
ピアノのレッスンが終わり、教本を片付けながら言われた教授の言葉に私は動きを止めた。
「え?」
新入生を歓迎するために行われる、映像フィルムをつくるのだが、毎年それは優秀な人が行うものだと、私自身他人事のように思っていた。

「朝倉はデジタルも強いし、どんなジャンルの作曲もできるし俺はいいと思ってる」
にこやかに笑う教授に、私は少し不安げな表情を浮かべたのだろう。

「お前は自信がなさすぎる。もっと広い世界をみろよ」
ポンと頭を本で叩かれ、私は小さく頷いた。

放課後、私は憂鬱な気持ちと、ほんの少しだけ楽しみな気持ちで初めての集まりがある、美術学部の校舎へと足を踏み入れた。
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