夢のような恋だった
「地味だなんていってないだろ?仮にも俺の相手に選ばれたんだからその言い方はやめろ」
真剣な表情で言われ、今までの少し軽薄そうな印象がなくなり私はビクリとした。

「すみません。あと咲良で大丈夫です。朝倉咲良、音楽部作曲科専攻の3年です」
ぺこりと頭を下げた私に、長谷川先輩のまた柔らかい声が響く。
「じゃあ、改めまして咲良。よろしく」
それが私と先輩との出会い。

それから作業をするにつれ、先輩は見かけによらずと言ってはいけないが、作品に関しては一切の妥協がなく、私に対して意見を投げてくる。
最初はそれに押され気味だった私だったが、本来それほどおしとやかにピアノを弾いているタイプではない。
常に弟2人の姉として、どなってばかりだった。
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