心を持った機械
楓side

”神様なんていないんだ“

8回目の入院が決まり、17歳でその事実に気づかされた。

病室の窓からは、退院して元気よく帰っていく人たちが見える。

その反対に自分はどんどん状態が悪い方向を向いている気がしてならない。

「リサ、ちょっと外の空気吸ってくるね。」

「はい、かしこまりました。」

リサは、患者専門アンドロイドで、今は私を担当している。

ニコッと私に微笑むけれど、これはそうゆうふうにプログラムされているだけで、アンドロイドに感情はない。

それを利用してアンドロイドを吐け口にしている人もいる。

ガチャッ
屋上の扉を開けて、空気を胸いっぱいに取り込む。

しばらくその場で雲の動きを眺めていると

「すみません、通していただけないでしょうか。」

後ろから声がして振り返ると、そこには私と同じくらいの男の子がいた。

...でも、アンドロイドの服を着てる。ってことはこの子アンドロイド...?!

「ごめんなさい、邪魔でしたね。」

「いえ、ありがとうございます。」

避けるとお礼を言った彼は、そのままフェンスへ向かって、フェンスをまたぎ、両腕を横に伸ばして目を閉じた。

馬鹿な私でもさすがにわかる、これは.....ここから落ちようとしてる!?

勢いよく走って彼の体を抱きしめる。
けれど、さすがアンドロイド、ビクとも動かない。

「....どうしたんですか?」

「どうしたもこうしたもない!落ちたらダメよ!」

そう言っても、このアンドロイドはキョトンとして動こうとしない。

「...任務を遂行しようとしているだけです。構わないでください。」

任務...?ここから落ちるのが任務だっていうの?

「....ここから落ちたら私も一緒に落ちるから!」

今の私に最善策がこれだった。

「それは困ります。どうしたらいいのですか?」
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