彼女を恥ずかしがらせたい


「恥じらう姿…?そうか。それは惚気か」


電話越しに聞こえる声。
俺の友達の涼太(りょうた)だ。

「ちげぇーよ。いや、ちがくないか…」

「どっちだよ」

「惚気だよ」

「じゃあ、切るな」

「待て待て待て待て、涼太!俺とダブルデートせん?」

「は?」

「いや、だって彼女できたって言ってたじゃん」

「いるよ。だからってお前に見せたくないんだけど」

「独占欲強すぎだろ…」


「仕方がないだろう?こうたの所は普通科の高校だけど、僕の所は、工業高校なんだよ。女の子は僕の彼女しかいない。独占欲も強くなっちゃうさ」


「安心しろって、俺、自分の彼女にしか興味ねぇーから」

「恥じらう姿が見たいって言ってたじゃないか。僕の彼女は、恥ずかしがると顔を真っ赤にするんだよ。可愛いんだよ。こうたに見せたくないんだけど」

「ちげぇーよ!俺の彼女の恥じらう姿が見てぇーの!」

俺は粘り強く涼太にダブルデートを申し込んだ。


1時間、渋々おっけーしてくれた。


「彼女が断ったら、絶対無理だから」

って言ってたけど、涼太の彼女も大丈夫らしい。


ダブルデートを申し込んだのには
理由がある。


涼太の彼女は、よく顔を真っ赤にするらしい。

…彼女が恥ずかしがるポイントが、涼太にあるってことだよな?


俺は、涼太のデートの様子を参考にしようと思った。

参考にして、取り入れる。


これで俺も彼女を恥ずかしがらせることができるはずだ。
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