ボードウォークの恋人たち
確かに、もう最終電車の時間だしリュウさんの目を盗んでアルコールのお代わりを繰り返していたことに間違いはない。今から真っ直ぐ帰って寝るならまだしも、新婚の詩音ちで詩音の日用品とベッドを借り、明日の朝知らない場所から出勤っていうのもなかなか大変だろうし。大家のハルに挨拶しないでマンションを出て行くのも間違ってる。
「あーえーまあー・・・・スイマセンデシタ。ありがたくお水を頂いて今夜はカエリマス」
リュウさんのど正論に反論するディベート能力もなく、おとなしくリュウさんの持ってきてくれたロック氷の入ったお水のグラスに口を付けた。
途端に柑橘系の爽やかな風味が身体に広がっていく。呼吸と同時にフルーツとハーブの香りが抜けていった。
「あ、美味しー」
そうだろうとばかりに怖かったリョウさんの表情が柔らかくなって
「こだわりの水だ。しっかり飲んどけ」
ふっと笑顔になった。
お店には出さないけれど、厨房の冷蔵庫にはリュウさん手作りのハーブ水が入っている。
毎回『詩音と水音の美容と健康のため』と私たちが帰る前にはそれを出してくれるのだけれど、それは私たちのために作られたものではない。
リュウさんは自分の大事な人のために作っているのだ。
彼女がいつ来ても大丈夫なように毎日作っている。私たちはそのおこぼれを頂いているに過ぎない。
「今日のは前のより更に美味しいね。レモンやめたの?ライム?中のハーブも違うよね?」
味覚も嗅覚も鋭い方ではない私だけど、前に飲んだものと何かが違うことはわかる。
「当たり。ライムだ。ハーブの配合も種類も変えてみた」
クンクンしながら味わっていると私の頭をぐりぐりと撫で始めリュウさんの機嫌がよくなったことがわかった。
「あー、私も欲しい。ねぇ私にもちょうだい。もうアルコール終わりにするから」
私が美味しそうに飲んでいるところを見て詩音もねだる。
「わかった、わかった。持ってくるからおとなしく待ってろ」
ぶっきらぼうだけど優しくて怖くて一途な大人のリュウさん。その背中を詩音と二人で見送ってため息をついた。
「・・・一体いつになったらリュウさんに大人だって認めてもらえるんだろう」
「たぶん、一生無理だわ」
「・・・そうだよね・・・」
「はぁ~」「はぁ~」
大人の女性への道、遠しーーー
「あーえーまあー・・・・スイマセンデシタ。ありがたくお水を頂いて今夜はカエリマス」
リュウさんのど正論に反論するディベート能力もなく、おとなしくリュウさんの持ってきてくれたロック氷の入ったお水のグラスに口を付けた。
途端に柑橘系の爽やかな風味が身体に広がっていく。呼吸と同時にフルーツとハーブの香りが抜けていった。
「あ、美味しー」
そうだろうとばかりに怖かったリョウさんの表情が柔らかくなって
「こだわりの水だ。しっかり飲んどけ」
ふっと笑顔になった。
お店には出さないけれど、厨房の冷蔵庫にはリュウさん手作りのハーブ水が入っている。
毎回『詩音と水音の美容と健康のため』と私たちが帰る前にはそれを出してくれるのだけれど、それは私たちのために作られたものではない。
リュウさんは自分の大事な人のために作っているのだ。
彼女がいつ来ても大丈夫なように毎日作っている。私たちはそのおこぼれを頂いているに過ぎない。
「今日のは前のより更に美味しいね。レモンやめたの?ライム?中のハーブも違うよね?」
味覚も嗅覚も鋭い方ではない私だけど、前に飲んだものと何かが違うことはわかる。
「当たり。ライムだ。ハーブの配合も種類も変えてみた」
クンクンしながら味わっていると私の頭をぐりぐりと撫で始めリュウさんの機嫌がよくなったことがわかった。
「あー、私も欲しい。ねぇ私にもちょうだい。もうアルコール終わりにするから」
私が美味しそうに飲んでいるところを見て詩音もねだる。
「わかった、わかった。持ってくるからおとなしく待ってろ」
ぶっきらぼうだけど優しくて怖くて一途な大人のリュウさん。その背中を詩音と二人で見送ってため息をついた。
「・・・一体いつになったらリュウさんに大人だって認めてもらえるんだろう」
「たぶん、一生無理だわ」
「・・・そうだよね・・・」
「はぁ~」「はぁ~」
大人の女性への道、遠しーーー