ボードウォークの恋人たち


ハル、舘野治臣は6歳離れた私の兄、暁人(あきひと)の友達だ。

彼は私が小学生の頃、ハルが中学生だった頃からしょっちゅうわが家に出入りしていた。

はるおみ君という名前が呼びにくくて、私と母は彼を「ハル君」と呼んだ。
私にとってハル君は実兄よりずっと優しくいつも頭を撫でてくれるイケメンのお兄ちゃんだった。

私はすぐにハル君に懐いて家にハル君が来ると後ろを付いて回っていたし、うちの両親(特に母)もハル君のことを気に入っていたからわが家にとってハル君はお客さんじゃなくて家族のようになっていた。

ハル君の方も私には激甘で宿題で困っている時も教えてくれるのはいつもハル君。
私の誕生日、忙しくて出掛けることができなかったうちの父に代わって遊園地に連れて行ってくれたのもハル君。
調理実習で作ったお菓子を持ち帰れば美味しそうに食べてくれたのもハル君。
女の子のくだらない話に耳を傾けてくれるのもいつもハル君だった。

そうして私の中の一番はハル君になっていった。

< 12 / 189 >

この作品をシェア

pagetop