ボードウォークの恋人たち
今まで何の関わりも無かったくせに何さまのつもりだ。
それ以降母からの連絡は無視をした。
沙乃に話しかけられれば返事ををしたが大学外で会うことはしなかった。

それからしばらくして諸川さんが一人でハルを訪ねてきた。
その時に交わした話がハルの大きな転機の1つになった。

彼から実母の暴言の謝罪をされるのも違和感がある。今やハルにとっての母はただ自分を生んだ人というだけではあるけれど、諸川さんのことも義理とはいえ父だとも家族とも思えない微妙な関係だ。

だから投資家として諸川さんがハルに提案をした。
それは彼がハルに知識を与え、ハル自身が投資をして自分で稼ぎ、在学中に二ノ宮の奨学金を返還してしまうというものだ。

これならば例えその後二ノ宮グループの病院に就職しても丁稚奉公などと周囲を含め実母にも言われないし、二ノ宮グループ以外の大学病院や他の病院に就職も可能になる。しがらみに捉われない生き方の選択ができる。

二ノ宮グループの病院に就職することに対して不満はなかったもののその頃のハルの中にはもう少し就職を先送りして勉強をしたい気持ちが芽生えていてこのまま就職していいのかという迷いが芽生えていたのだ。

そしてハルは諸川さんの提案に乗り株式投資を始めたのだった。

諸川さんは投資家としてその知識を惜しむことなくハルに与えハルは運にも恵まれた。
諸川さんも驚くようなセンスを見せあっという間に財を成し学費どころかその後の生活を困ることがない程の利益を得ることができたのだった。

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