ボードウォークの恋人たち
いつもハルに好意的だった二ノ宮の父の様子が初めて違っている。
・・・・昨夜二ノ宮の父は留守だったはずなのだが、もしかして自分と水音のケンカを知っているのか。

その前日、ハルと水音は口論をしていた。
最近水音の帰宅が遅くなっていた。予備校の後も友人宅に行ったり、時には友人宅に泊ってきたり。昨日も他の高校の男子生徒とカラオケに行き帰宅が遅くなったことでハルが水音を注意していた。

昨夜の水音は本気でハルに食って掛かっていた。
「ハルには関係ない」
「私は乱れた生活してるわけじゃない」「私のことはほっといて」
自分には関係ないと水音に言われて傷つきハルも言い返していた。

そうして、その時にハルも気が付いた。
自分はどうしてこんなにも水音を構うのかと。

いつだって水音はハルの特別だった。

水音は暁人の妹であって自分の妹ではない。
妹なら水音ではなく、義妹の沙乃の方だけれど、自分は沙乃の行動など少しも気にならない。

幼い頃から知っているからなのか、水音が高校生になり急に成長したように見えるからなのか。

水音が他の男と一緒にいるところを想像するだけで嫌悪感と焦燥感に駆られる。

なぜか昔から水音が大人になったらずっと一緒にいられると思っていた。
今までその意味を深く考えたことはなかった。

< 160 / 189 >

この作品をシェア

pagetop