ボードウォークの恋人たち
もともと研究発表は日本の学会でするつもりのスケジュールだったこともあり、予定を少し前倒しにするだけで済むはずだった。
沙乃に早めに帰国することを告げると、自分も帰国すると言い出した。
沙乃にとって留学は何かを成す為のものではなく日本から一時的に逃げる口実だったからもういいのだという。
一緒に研究を手伝ってきたのに自分を置いていくのかと言われるとこちらも強くは出られない。
日本に帰る気になったのなら諸川さんへの恩返しもこれで終わりになるはずだ、とハルも納得した。
それから帰国まではトラブルが続いた。
こちらでの研究の続きをそのまま日本で出来るようにまとめていると、途中でパソコンがフリーズしたり、サーバーダウンしたり。
バックアップを何重にもしていたから事無きを得たが、時間だけがムダに過ぎていく。
見合いの三日前には帰国して水音に会いに行くつもりでいたのに、なぜかチケットがキャンセルされていて飛行機にすら乗れない。
取り直してやっと乗れた飛行機が到着したのは水音の見合い当日だった。
「遅かったな。ギリギリだぞ」
「ああ、すまん」
空港に迎えに来てくれた暁人に呆れられながら見合い会場のホテルに向かう。
「これ、うちのお袋から。とりあえずそのスーツケースも置かなきゃならないだろうし、そこに水音の着替えを置いておいたって。振袖なんて着たの成人式以来だからアイツ苦しくてへばってんじゃないのかな」
暁人からホテルのカードキーを渡された。
何から何まで考えてくれている二ノ宮のお袋さんには感謝しかない。
沙乃に早めに帰国することを告げると、自分も帰国すると言い出した。
沙乃にとって留学は何かを成す為のものではなく日本から一時的に逃げる口実だったからもういいのだという。
一緒に研究を手伝ってきたのに自分を置いていくのかと言われるとこちらも強くは出られない。
日本に帰る気になったのなら諸川さんへの恩返しもこれで終わりになるはずだ、とハルも納得した。
それから帰国まではトラブルが続いた。
こちらでの研究の続きをそのまま日本で出来るようにまとめていると、途中でパソコンがフリーズしたり、サーバーダウンしたり。
バックアップを何重にもしていたから事無きを得たが、時間だけがムダに過ぎていく。
見合いの三日前には帰国して水音に会いに行くつもりでいたのに、なぜかチケットがキャンセルされていて飛行機にすら乗れない。
取り直してやっと乗れた飛行機が到着したのは水音の見合い当日だった。
「遅かったな。ギリギリだぞ」
「ああ、すまん」
空港に迎えに来てくれた暁人に呆れられながら見合い会場のホテルに向かう。
「これ、うちのお袋から。とりあえずそのスーツケースも置かなきゃならないだろうし、そこに水音の着替えを置いておいたって。振袖なんて着たの成人式以来だからアイツ苦しくてへばってんじゃないのかな」
暁人からホテルのカードキーを渡された。
何から何まで考えてくれている二ノ宮のお袋さんには感謝しかない。