ボードウォークの恋人たち
それから季節は巡り兄とハルは大学4年生、私は高1の冬。
兄は私たちの父親が経営する医療グループ企業を継ぐため法学部を卒業したあと大学院に進み経営の勉強をすることになっていた。
「ハルだけ卒業だね」
何気なくそう言ったら兄は目を丸くした。
「ハルは医学部だから卒業は俺と同じ2年後だぞ」
「え?医学部?ハルってお医者さんになるの?」
「知らなかったのか?」
「うん。誰もそんなこと言ってなかったし」
「ああー、お前ハルのこと避けてたからな…」
…身に覚えがあって目が泳ぐ。
今も進行形で避けてますけど。
頻度は減ったけど、ハルはまだうちに泊まりに来ることがある。
駅で出会うことはなくなったけど、ハルの女癖の悪さは抜けていない。
駅で会わなくなったのはハルが車を買ったからで、たまに街中で見かけるハルの車の助手席には女の姿がある。
「子どもの頃はあんなに懐いてたのに。ハル寂しがってたぞ」
「私、苦手なの。女にだらしない人」毅然として言い捨てると、兄はため息をついた。
「水音がそう言うのもわかるけど。ハルは距離感がちょっとわかってないからなぁ、うん。だけど、ハルにはハルの事情もあって・・・ってわかんねーか。わかんねーよな。いい、ハルには水音にわからないようにほどほどにしとけって言っとく」
「別に言わなくっていいよ。私には全然関係ないし」
ハルの女関係が荒んでいても私には関係ない。私はハルの本当の身内じゃないし。
「じゃあ私出掛けるね」
立ち上がった私に兄が「日曜にどこ行くんだ?」と聞いてきた。
「生徒会の買い出しなの。もうじき会長たち3年生が卒業だから生徒会の後輩みんなでプレゼントを買いに行こうかって話になって」
ああと兄が頷いた。
「リュウイチも卒業か、早いなあ」
「リュウイチって・・・お兄ちゃん、うちの生徒会長のこと知ってるの?」
「もちろん。俺とハルのツレだった拓朗の弟だからな。ガキの頃からよく知ってる」
「へえー、世間は狭いね・・・ってそうじゃない!もしかして私が無理やり生徒会に入れられたのってまさかお兄ちゃんの陰謀?」
兄は私たちの父親が経営する医療グループ企業を継ぐため法学部を卒業したあと大学院に進み経営の勉強をすることになっていた。
「ハルだけ卒業だね」
何気なくそう言ったら兄は目を丸くした。
「ハルは医学部だから卒業は俺と同じ2年後だぞ」
「え?医学部?ハルってお医者さんになるの?」
「知らなかったのか?」
「うん。誰もそんなこと言ってなかったし」
「ああー、お前ハルのこと避けてたからな…」
…身に覚えがあって目が泳ぐ。
今も進行形で避けてますけど。
頻度は減ったけど、ハルはまだうちに泊まりに来ることがある。
駅で出会うことはなくなったけど、ハルの女癖の悪さは抜けていない。
駅で会わなくなったのはハルが車を買ったからで、たまに街中で見かけるハルの車の助手席には女の姿がある。
「子どもの頃はあんなに懐いてたのに。ハル寂しがってたぞ」
「私、苦手なの。女にだらしない人」毅然として言い捨てると、兄はため息をついた。
「水音がそう言うのもわかるけど。ハルは距離感がちょっとわかってないからなぁ、うん。だけど、ハルにはハルの事情もあって・・・ってわかんねーか。わかんねーよな。いい、ハルには水音にわからないようにほどほどにしとけって言っとく」
「別に言わなくっていいよ。私には全然関係ないし」
ハルの女関係が荒んでいても私には関係ない。私はハルの本当の身内じゃないし。
「じゃあ私出掛けるね」
立ち上がった私に兄が「日曜にどこ行くんだ?」と聞いてきた。
「生徒会の買い出しなの。もうじき会長たち3年生が卒業だから生徒会の後輩みんなでプレゼントを買いに行こうかって話になって」
ああと兄が頷いた。
「リュウイチも卒業か、早いなあ」
「リュウイチって・・・お兄ちゃん、うちの生徒会長のこと知ってるの?」
「もちろん。俺とハルのツレだった拓朗の弟だからな。ガキの頃からよく知ってる」
「へえー、世間は狭いね・・・ってそうじゃない!もしかして私が無理やり生徒会に入れられたのってまさかお兄ちゃんの陰謀?」