ボードウォークの恋人たち
ハッピーマリッジ
ゴーン、ゴーン
高く突き抜けるような透明な青空に鐘の音が響く。
私の隣には輝くような笑みをたたえて周囲の視線を独り占めにしている花嫁泣かせの美貌の持ち主で今日の主役、花婿ハルが王子様スマイルで立っている。
もう、ホントにイケメンすぎるっ。
花嫁より目立つなんてどんだけよ。
私もね、メイクさんたちが全力で綺麗にしてくれたわけ。でも、あの花婿の隣に立ったら霞んだのよ。見事にさ。
おかげで私の感動の涙が引っ込んだ。
ま、いいんだけど。
メイクくずれを気にしなくて済むし、結婚式も冷静に臨むことができたし。
それにハルがずっと嬉しそうにしてるから。
ハルは終始笑顔で私の身体のどこかに触れている。
今は腰に手を回しているけど、さっきまでは肩。
手を繋ぐパターンもあるし(もちろん恋人つなぎ)
目が合えば頬や額、髪にキスが落ちてくる。
甘い。
ひたすら甘い。
でもこんなハルはもはや標準仕様だからさすがに慣れてきた。
ハルが退院してマンションに戻った日から、ハルは積極的に愛を囁きスキンシップ過多になりーーー水音は完落ちした。
今ではテレビを見るときも雑誌を読むときもハルの膝の上だし、お風呂・・・は流石に一人で入らせてもらっているけど、ドライヤーはハルがかけてくれる。
行ってきますとただいま、おやすみ、おはようのキスはもはや常識。
忙しいいハルだからこそ一緒にいられる時間は私も大事にしたいし、くっついていることも嫌じゃないどころかもっとくっつきたい。多分私は中毒になってる。
今はもう頭をポンポンとされても嫌悪感を感じることはない。
アレに深い意味はなかったのだと今ならわかる。ただ私が醜い嫉妬をしていただけ。