ボードウォークの恋人たち
「ハルはお前が心配だったんだよ。二ノ宮家の娘で可愛くて、なんて男たちが狙わないはずがないって。だからガードを付けることにしたんだろ」

「そんな勝手な思い込みを」
怒りも一周すると呆れるわ。

「返せ、私の青春。サッカー部のマネージャー」

「なんだよ、そのサッカー部にイケメンでもいたのかよ」

「いや、残念ながらいないけど。欲しかったのは男子とキャーキャーじゃなくて、そのポジション」

「ポジション?サッカー部の?フォワードとか?選手狙ってた?」

「違う違う。だから個別の選手じゃなくて。”サッカー部のマネージャー”っていうポジションだよ。えへ」

はぁー、兄の口から大きなため息が。それに私を見る目も心なしかさっきより冷たい。

「水音、お前もう二度とハルのこと悪く言うな。お前も同じだろうが。マネージャーになって男子とわいわいきゃっきゃしたかったってことだろ」

「違うっ!ボケ兄」

失礼な。
「うちの学校のサッカー部は全国大会を狙えるポジションにあって成績優秀。監督、コーチ、トレーナーもいて女子マネージャーも3人もいるような特別な部活なんだよ。その中に入って職種間のつなぎ役になったり縁の下の力持ち的な仕事をして更にそのチームが全国大会で優勝したりしたら・・・その中にいられたら最高の経験じゃない?」

「言い方は違うが、自分で競技しないで全国大会優勝の気分を味わいたいと言っているように聞こえたのは気のせいか?」

おおー、さすが兄。こわ。兄、こわっ。
そんな気持ちも全くなかったとは言えない。
どうせ応援するのなら強いチームがいい。

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