ボードウォークの恋人たち
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「今夜は落ち着いてるみたいでいてよかったぁ」
「ホントですよ」
うんうんと望海さんの言葉に激しく同意する。

今夜の夜勤も望海さんと一緒の勤務で、消灯時間を過ぎルーティン業務も一段落したところで私たちはひと息ついていた。
このところ病棟はバタついていた。救急搬送、緊急のオペによる入院、それに伴い退院、転棟が発生し患者さんの入れ替えも多い。
病棟スタッフの一人が妊娠悪阻で入院してしまったこともあってその分の勤務も増えていた。おかげでアパート探しの方は全く進んでおらず、ハルの部屋にお世話になってから何もできず1週間も経っていた。

「また一昨日の準夜勤みたいにバタバタしてたら身がもちませんもん」
顔をしかめると、
「アレはひどかったよね」
望海さんもげぇっと舌を出した。

「聞いたわよ。一昨日の夜は大変だったんですってねぇ」
今夜の勤務のリーダー、先輩ナースの浜すみれさんが労わるような目を向けてくれる。

「でも二人が頑張ったおかげで立て続けにおきた急変も無事対応で来たって聞いたわよ。偉かったわね」
美人で超有能な大先輩、浜さんに褒められて子どものように万歳をしたくなったけれど、そこは消灯後の夜勤中なのでぐっと堪え静かにガッツポーズをした。

「水ちゃんもずいぶん成長したから新人教育係だった私は鼻が高いわ。今夜の勤務だって望海と水ちゃんとのチームで私はラッキーね」
そう浜さんに持ち上げられ褒められたことは素直に嬉しい。

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