ボードウォークの恋人たち
「あらお客様が増えたのね」
ナースコールで呼ばれた病室から浜さんが戻ってきて「舘野先生、お疲れ様です」と私たちと一緒にコーヒーを飲むハルに笑顔を向けた。
「お疲れ様です。夜分にお邪魔してます。折角なんで婚約者の職場の方に挨拶をしようと思いまして。懸命に働いているかわいい彼女の姿を見たかったってこともありますけど」
ひっ、爽やかな笑顔で再びさらっと白々しい嘘をつくハルに呆れてくらっとする。
何を言いだすのかと思えば、婚約者とかかわいい彼女とか。
ジト目で睨みつけてやってもハルは私を綺麗にスルーした。
「皆さん、いつも水音がお世話になっています」
改めてハルがその場にいた3人に頭を下げている。
「ちょっと待って。なんて挨拶してんの」
私はそんな態度に納得できずハルの白衣の袖をグイッと引っ張っりやめてと唇を尖らせた。
「何でって、挨拶するのは当たり前だろ。社会人なんだから。水音も社会に出てその辺のことは理解してるって思ってたけど。二ノ宮のおばさんってそういうのかなり厳しかったし」
「そうだけど。・・ってそうじゃない!今の挨拶がちょっとおかしいでしょ」
思わず声が大きくなった私に「水ちゃん、しー」と唇に人差し指を立てた浜さんに注意されてしまった。
そうだった。今は勤務中だし、しかも消灯後だ。
「すみません」しゅんっとしたところにまたナースコールの音が室内に響いてきた。
「今度は水ちゃんが行ってきて」
浜さんの指示にすばやく意識を切り替え「はい」と立ち上がる。
ナースステーションの壁を見ると516号室のランプが光っていた。
この部屋の患者さんは術後2日目の岡村さん。もしかしたら手術の痕の傷口が痛いのだろうか。
「行ってきます」私はライトを手に取り足早に516号に向かいナースステーションを出た。
ナースコールで呼ばれた病室から浜さんが戻ってきて「舘野先生、お疲れ様です」と私たちと一緒にコーヒーを飲むハルに笑顔を向けた。
「お疲れ様です。夜分にお邪魔してます。折角なんで婚約者の職場の方に挨拶をしようと思いまして。懸命に働いているかわいい彼女の姿を見たかったってこともありますけど」
ひっ、爽やかな笑顔で再びさらっと白々しい嘘をつくハルに呆れてくらっとする。
何を言いだすのかと思えば、婚約者とかかわいい彼女とか。
ジト目で睨みつけてやってもハルは私を綺麗にスルーした。
「皆さん、いつも水音がお世話になっています」
改めてハルがその場にいた3人に頭を下げている。
「ちょっと待って。なんて挨拶してんの」
私はそんな態度に納得できずハルの白衣の袖をグイッと引っ張っりやめてと唇を尖らせた。
「何でって、挨拶するのは当たり前だろ。社会人なんだから。水音も社会に出てその辺のことは理解してるって思ってたけど。二ノ宮のおばさんってそういうのかなり厳しかったし」
「そうだけど。・・ってそうじゃない!今の挨拶がちょっとおかしいでしょ」
思わず声が大きくなった私に「水ちゃん、しー」と唇に人差し指を立てた浜さんに注意されてしまった。
そうだった。今は勤務中だし、しかも消灯後だ。
「すみません」しゅんっとしたところにまたナースコールの音が室内に響いてきた。
「今度は水ちゃんが行ってきて」
浜さんの指示にすばやく意識を切り替え「はい」と立ち上がる。
ナースステーションの壁を見ると516号室のランプが光っていた。
この部屋の患者さんは術後2日目の岡村さん。もしかしたら手術の痕の傷口が痛いのだろうか。
「行ってきます」私はライトを手に取り足早に516号に向かいナースステーションを出た。