ボードウォークの恋人たち

「水音、もうできた?」
急いでシャワーを浴びたハルがキッチンに顔を出した。

ぎゃーーーーお風呂上がりのハルがヤバい。神さま、助けて。
私は心の中で悲鳴をあげた。

「は、は、は、ハル。ちゃんとシャツ着て」

「俺の風呂上りなんて子供の頃から何回も見てるだろ。暁人のだって」

「見てるけど、見てないよ。ハルの裸なんて」

「裸じゃねーし。下はちゃんと穿いてるだろ。まだ暑いんだよ。それよりいい匂いだな。早く食べたい」

肩からバスタオルをかけ上半身裸のハルがキッチンに顔を出して私はプチパニックだ。

確かに何度もお風呂上がりのハルは見ている。
でも、あの頃はTシャツやスウェット着てたし。上半身裸なんて見たことないし。

色気がね、フェロモンっていうの?あれ、あれが出てるの。見たらなんか胸がドキドキするの。
濡れてたらりと垂れた前髪とか、熱い胸板とか広い肩幅とか。盛り上がった上腕とか・・・。
やばい、私変態なんだろうか。

「お前、ナースだろ。毎日男の裸見てんのに何言ってるんだか」

「いいから、早くシャツ着て。先に食べちゃうよ」

ツンっと顔を背けて冷蔵庫からサラダを取り出した。

「ガキか」
ハルが呟いてキッチンから出て行った。

ーーーやれやれ助かった。




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