ボードウォークの恋人たち

まずはビールで乾杯。

とんかつに切干大根の煮物、ひじき入りの卵焼きにお味噌汁。
アメリカ帰りだと言っていたし、和食っぽいものがいいかなと思ったメニューはドンピシャだったらしくハルは美味しいと言ってたくさん食べてくれる。

「ね、アメリカで何してたの?」
私が聞きたかったのはこれ。

「6年もいたんでしょ。このタイミングで帰ってきたのはどうして?」

聞くタイミングがなくてなかなか聞けなかったことを聞いた。

「んー。どこからどうやって話そうか、俺もまだ迷いがあるから説明しにくい」
ハルの言葉は妙に歯切れが悪い。

「まさか、6年前、日本から逃げ出さなきゃいけないようなことがあったとか、反対にアメリカから逃げ出さないといけなかったとか」
「あるか、そんなもん」
「どうだかねー」

それからハルがカクテルを作ってくれると言うからお言葉に甘えることにした。

アメリカに行ったことは言いにくいことなんだろうか、結局話してもらえなかった。
話してくれる気になるまでは待った方が良いのかもしれない、すごく気になるけど。

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